直木賞受賞作品。
良い。
面白かった。
最近読んだ本の中では最も良かった。
二人の中年女性の微妙な心の流れをうまく描出している。
高校時代のエピソードを織り交ぜた書き方が良い。
主人公の一人、葵の心の中が透けるように見えて多少悲しくもなりそうだった。
そうなのだ、自分が変われば自分の周りも変わってゆくのだ。
自分の周囲が変わってくれるのを待ってはいけない。期待してもいけない。
それではいつまで経っても何にも変わらない。
人は信じるに値するし、この世は生きるのに値する面白いものなのだ。
2008/07/25
20080725 対岸の彼女 角田光代
20080719 助手席にてグルグルダンスを踊って 伊藤たかみ
20080719 フランチェスカの瞳 五木寛之
五木寛之の本を初めて読む。
この人の本は男女の間に渦巻く感情もろもろなのだろう。
たぶん、この本以外の本もそうなのだろう。
おじさん年代には願ってもない、若い女性とのアバンチュールを描いている。
こんなことが実際にあるのか、どこまで本当なのか。
会社で暇をかこっているおじさん族にはうらやましい本だろう。
教科書になりそうだ。
だけど、こんなにかっこいい仕事をしているおじさんもいないだろう。
イスタンブールの百万ドルの夜景は、一度見てみたいと思った。
アフリカ旅行の帰途で夜のバンコクの上空を飛んだが、女王の嘴と言われる見事な夜景だった。
素晴らしい光の集積に心を奪われた。
あんな夜景を見てみたいものだ。
20080719 八月の路上に捨てる 伊藤たかみ
20080719 こらからは歩くのだ 角田光代
直木賞作家角田光代氏の本はこれで2冊目。この本はエッセイ集である。
よく飲み歩く人だ。人と一緒に飲んで愉快に過ごすことが好きなのであろう。
たぶん、友人が多いに違いない。飲兵衛の友人も多いに違いない。
面白い出来事にも事欠かない人だ。
書の題名にもなっているのは自転車にまつわるエピソードなのだが、読んでいて吹き出した。
笑ってしまった。
よくよく運のない人なのか、そういう星の下に生まれてしまった人なのか。
自転車には乗らないほうがいいでしょう。
20080719 夜をゆく飛行機 角田光代
直木賞作家角田光代の本を初めて読む。結構面白い。肩に力を入れずに楽に読める本。
高校生の私、の視線を通して描かれる家族の振舞い方が面白い。家族でも自分には心の中まで読める訳じゃない。
いろいろなハプニングを通じてリアリティのある生活風景を伺うことができる。
この中で何度も出てくる飛行機は、変わらない物の象徴である。主人公は出来事を通じて自分が変わってゆくのを実感してゆく。
その心情の機敏な変化が、女性らしい視点できめ細かく表現されている。
読んでなんとなく安心する本。
2008/07/03
20080703鬱力_柏瀬宏隆
うつちから、と読む本。
最近発刊された鬱の力とは違います。
鬱になったが偉大な仕事を成し遂げた人達のことを書いている。
鬱だけでなく、てんかんや他の精神疾患も対象に含めている。
作曲家や作家、映画監督など、誰でも知っている有名な人ばかり。
手塚治虫や黒澤明がてんかんや鬱だとは、知らなかった。
ただ、この種の人は例外だと思う。
大抵の人は、病気に抵抗する術も力も無く、服従状態にあると思う。
恐らく、この種の病気にかかりながらも偉大な仕事を成し遂げた方々は
病気の症状がある程度軽かったのだと思う。
このような病気が本気を出したら、まともに立っていられないです。
でもこの本は読む人に元気を与えてくれます。
2008/07/02
20080620_国家の品格 藤原正彦
数年前にベストセラーになった本。
今は順番待ちもなく、楽に普通に借りることができる。
はじめの数ページをよんでショックを受けた。
おもしろい。
予想していたより、面白いのだ。
ブームに載って書かれた時流本ですぐに陳腐化するだろうと、たかをくくっていた本だったが、そうではなかった。
自分の言葉で考えたことをとつとつと述べている。
そして、見事にそれが実に的を射ている。
出るべくして出る時代に出た本だ。
日本というのは本来もっとすごい国のはずだが、最近ははて?という時流になってきたなと感じる諸兄はぜひこの本を読むべきだ。
この著者は、堂々として自信満々のところが良い。
そうです、あなたの言うとおりです。と講演会で言ってあげたいくらいだ。
日本人なら読むべき一冊。
20080617_鏡の法則 野口嘉則
最近大流行のスピリチュアルというのは、こういう本に書かれていることを言うのだろうと思った。
阿呆らしくて最後まで読まなかった。
前半部分はまあ、そうだな、という感じで読み進めたが、途中から怪しい雰囲気になり、占い師のみことのりのような話が展開し始め、新興宗教的な文章になった。
内容が薄い。
最後のほうでもうだめだ、耐え切れんとなったがそこまで読むのに約10分ほど。
文庫にしたら1ミリくらいのものになってしまうんじゃないか。
このような本に惹かれてしまう人がどのくらいいるのか、ちょっと疑問に思った。
20080617_神の火 高村薫
高村薫氏のミステリーは面白い。
まだ全部を読んだわけではないが、今まで外れたことはない。
神の火は氏の初期のころの小説である。
現実味あふれる人間描写で、読む者をぐいぐいミステリーへと引き込んでいく。
それにしても原子力発電の専門知識の豊かさに驚いてしまう。
ほとんど理解できない専門用語ばかりだった。
ラストの主人公の運命は悲しく、儚い。
なにか、とてつもないことが、なされる、という点で今まで読んだ氏の小説は同じだ。
一番面白かったのはレディ・ジョーカー。
2008/06/05
20080604 いま、会いにゆきます 市川拓司
一回読んで、ラストの手紙の部分をもう一回読んだ。
現実にはあり得ないが、正直で素朴な若者の恋愛を痛いほど感じさせる。
私は泣かなかったが、泣かせる手紙である。
主人公の青年はどうやら私と同じような病気に苦しんでいる。
主人公の言葉に、苦しみそのものへの恐れとこの苦しみが永遠に続くことへの恐れ、というものがありまさにこの種の病気に苦しむものにとってのおぞましき恐れが表れている。
ちょっと疑問に思うのは、幽霊として現れたにしても、7歳も違ったら随分外見も違うんじゃないかと、思いますが、そういうところはお約束で突っ込まないものなんでしょうか。
女性の方の読後感想を読みたい。
2008/06/01
20080531 21世紀版 マーフィーの法則 アーサー・ブロック
20080531 百年の孤独 G・ガルシア・マルケス
20080531 百年の孤独 G・ガルシア・マルケス
ノーベル賞作家の名著だということで読んでみた。
まず、タイトルがいい。
どこを読んでも南米の匂いが感じられる。
本の中で時はどんどん過ぎてゆき主人公も次々と代替わりするが、人間としては最初から最後まで同じブエンディア家の男と女であり行動や思想に変わりはない。
最終末になって百年の孤独の意味が明らかになるが、現実とも幻想ともつかない激動流転の家系の歴史は人々の熱い生命の息吹を熱波のように感じさせるものがある。
ウルスラを始め、女性の長寿には驚くものがある。
女性がしっかりしているが男性はアナーキーで凝り性で独りよがりな点は一族のどの人間にも共通だ。
サンタ・ソフィアなどまともな人間は離れていく。
衝天したレメディオスがどうなったか、気になるところだ。
ブエンディア家の血筋を変える期待を抱かせたフェルナンダの行き過ぎた手管のために、この結末に至るところがなんとも皮肉である。
百年たってもブエンディア家は己の血から逃れることは出来なかったのである。
20080519 地を這う虫 高村 薫
20080516アキハバラ@DEEP 石田衣良
20080516アキハバラ@DEEP 石田衣良
なかなか面白い本だった。
この本に出てくる秋葉原よりずっと昔から秋葉原に良く行く自分には知っているフィールドが数多く出ていて、かなり身近な物語に思えた。
著者がITやPCに関する専門的な分野の話をきちんと書いており、物語の信憑性を獲得している。
つっこんだ所の話が、間違えていたりするとこの手の本は途端にそっぽを向かれることをよく理解しているのだろう。
ただ、途中で話の次の内容を明け透けに予言する文章が章末ごとに出てくるのには辟易した。
単行本にするにあたって、この部分を編集してくれたら良かった。
終わりもなんだかあっけなく、実在感に薄く、およそ現在のITレベルでは実現しかねる映画じみた場面が多いのがやや残念である。
ページ君の話す内容はなかなか面白いものがあった。
20080511書斎の達人 宇田川悟
20080511宇宙への秘密の鍵 ルーシー&スティーブン ホーキング
20080511宇宙への秘密の鍵 ルーシー&スティーブン ホーキング
子供向けの本かと思っていましたが、大人が読んでも充分楽しめる本です。
ホーキング博士の最新のブラックホールの理論が描かれています。
ブラックホールの蒸発の理論が登場人物のエリックの救出で出てきていますが、なんともメルヘンチックな話になっています。これは生物の形態学で、鶏とすりつぶした鶏の違いは何か、という理論を知っていれば蒸発した人間を再生することは不可能だとすぐに判ります。著者はこのことを知らないか、知っていてもブラックホールの蒸発の話を判り易く説明する上で敢えて無視したのかもしれません。
敵役が出てくるところが何とも英国風です。
続編が楽しみです。
20080506ゲーム理論を読み解く 竹田茂夫
2008/05/05
20080505晴れないうつはないのです 高田明和
20080505晴れないうつはないのです 高田明和
うつ病について、現在判っている最新の原因分析を記し、それを踏まえて効果的な治療方法を紹介している。治療方法は薬物療法・認知療法の両面からの説明となっている。多少、専門的な用語が多く難解な点も多いがしっかりとうつ病について理解し、治療法を知りたい人にはとても良い本だと思う。
薬物療法だけでなく、認知療法についても丁寧に説明されている。著者自身がうつ病の経験者でもあることから、自分の実体験をなぞるようにして紹介しており、説得力を感じさせる文章である。私は認知療法については森田療法の触りぐらいしか知らなかったので興味深く読ませてもらった。後半部分はこの認知療法の話なのだが、宗教色が濃くなってきており諭すような文章が多いのが残念だ。
ただ、言葉の定義・格言・ことわざなど示唆に富む文章も多く、いくつか引用しておきたい。
最終部分にうつ病の治療生活での食事等にまで具体的に踏み込んで、解説しており大変役に立つ本である。また、食べ物についての留意点をここまで親切に記述しているのは、今までこの本以外お目にかかったことが無い。知っておいて損の無い文章が多い。手元に置いて損の無い一冊。
CRH:副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(corticotropin-releasing hormone)視床下部から分泌されるペプチドホルモンの一つ。
うつ病には視床下部、扁桃、海馬、前頭葉の働きに関係している。
うつ病になると右脳の前頭前野の活動が高まる。左脳だと楽天的になる。
海馬の細胞が増えないと、うつ病は治らない。
プラシボ効果:「効き目がある」と信じることにより、病気に対して精神的な治癒力を発する効果。
西洋式認知療法~三列記録法
①自動的な考えの認知:自己批判の思いが心をよぎったら、それに注意を向け、ノートなどに書き出す。
②ゆがめられた考えの認知:その考えがゆがんでいることを認識理解する。
③①への具体的な反論:もっと現実的で肯定的な自己評価を具体的に書きとめる。
怖れるものは、みなくる。
馬には乗ってみよ。人には添うてみよ。
因と縁
念を継がない
苦しいことは、早く飛び込めば、早く抜け出せる
考えずに一歩足を踏み出せ
言葉の力を借りる、言霊
言葉は私たちの潜在意識に送られる
よいことを思えばよいことが来る、悪いことを思えば悪いことがくる。
言葉の力によって、心を正しい状態にし、脳の回路を作り直すことができる。
言葉によって心が癒されると、海馬の細胞が増える。
ミラー細胞
自分を励ます言葉
困ったことは起こらない
すべてはよくなる、すべてはよくなる。
過去は思わず
ふりむくな、ふりむくな、うしろには夢がない
考えない、という仏教の修行
明るい光を浴びて松果体に刺激を与えセロトニンを多くする
身体を動かせば、脳全体の活動を刺激する
海馬の細胞を増やすには、運動、刺激、頭を正しく使う。
姿勢を正せば、悩みから逃れられる
呼吸をゆっくりすれば、心が落ち着く、セロトニンが増える
数息観 一から十まで ひとー つ、
食肉や脂肪の摂取を減らすと、うつになりやすい
砂糖は、ドーパミンとβエンドルフィンを出させて、快感を与え、意欲を起こさせる
20080503「パニック障害」メディカル・ガイド 越野好文 志野靖史
20080503「パニック障害」メディカル・ガイド 越野好文(作) 志野靖史(作・画)
パニック障害についての最新の基本的知識が漫画やイラストで判りやすく描かれている良本。
これを読めばパニック障害の大体のことが判る。9年前にはこうした本は全く無かった。
治療薬としてSSRIが第一に続く選択薬になっていることが時代の流れを反映している。
第一選択薬に抗不安薬が出てきているが、これで良くなる人はかなり軽い症状の人だろう。実際には抗うつ薬かSSRIを初期から投与しないと良くならない人のほうが多いのではないかと思う。薬が作用するには時間がかかるのでそのことを強調してあるのは、作者が良識人であることを示していると思う。
パニック障害の発作や予期不安以外の不定愁訴、残留症状、苦しい身体症状などへの対処法についての言及が無いのが残念である。続編としてパニック障害から抜け出すための対処法を組んでくれたらこの種の障害についての本としてトップに位置づけられるのではないかと思う。
20080501赤と黒 スタンダール 野崎歓 訳
20080501赤と黒 スタンダール上下巻 野崎歓 訳
19世紀のフランスを舞台にした若者の情熱を描いた小説。
上巻では単なる禁じられた恋愛小説の類のものと思ったが、下巻で話がパリに飛んで一挙に流動する。
マチルダが落城するまでのやり取りは面白かった。
この時代、こうした恋愛テクニックの類が上流階級では試みられていたのだろうか。
激動の展開になる終末の発端となった、レナール婦人の手紙だがかなり作者の作為が出過ぎているように感じる。かなり強引な展開だ。この明らかな作為の介入で小説全体のまとまり自体にも悪影響を及ぼしている。この時代の若者たちの自由な精神の流動をよく表現しているが、恋愛を主とした小説展開としては上出来とは言えないものだろう。
ともあれ、有名な小説であり読んでとても面白いのは事実である。
19世紀の時代を色濃く映し出している。
2008/04/15
20080414うつ病をなおす 野村総一郎
うつ病の治療方法が具体的に記載している。2004年時点で最新の治療方法という位置づけになっており、10年ほど前の同種の本よりはるかに最前線
の内容になっている。うつ病に関してなおすための医学的な一般図書として現時点で最新のものとしてお勧めできるものだった。
あくまでも治療は薬物療法によるが、カウンセリングは併用して重要な手段であるとの立ち位置を取っており、あくまで患者が自分で治そうとする
力を助けてあげることに過ぎないとしている点は、著者自らがうつ病患者だったこともあるせいか、よく判っていると感じた。薬の状況も一昔前の
書籍とは一線を画し、第一治療薬としてSSRI、SNRIを挙げている。治療の現実を知りたい人にお勧めの本。
2008/04/11
20080409 うつからの完全脱出 9つの関門を突破せよ 下園壮太
J君という患者がうつからいかに脱出してゆくか、具体的な過程を描きながらうつからの脱出方法について述べている。時間軸で話しが展開してお
り、ラストに向かって苦しみながらも快方してゆく様がありありと見えるようだ。書き手の視点が患者と同じ高さにあり、多くのうつ患者に共感を
得られるのではないかと思う。
しかしながら、表題の副題はあまりいいとは思えない。関門が9つもあるなんて考えただけでぞっとする。疲れきってエネルギーの無いうつ患者に
鞭を打つような言葉だ。
2008/04/08
20080406「経済人」の終わり P.F.ドラッガー
2008/04/05
20080404 青眉抄 上村松園
2008/04/04
20080402さおだけ屋はなぜ潰れないのか?身近な疑問から始める会計学 山田 真哉
さおだけ屋はなぜ潰れないのか?身近な疑問から始める会計学 山田 真哉
いくつかのパートに分かれていて、読みやすい構成になっていました。さおだけ屋以外にも、人気の無いレストランはなぜ潰れないのか、など面白
い内容が各パートに収まっています。私には在庫イコール悪、という会計上の位置づけを初めて知って、これはと合点が行きました。箪笥の中の不
要物を一挙に片付けることができそうです。
会計を学んで5年くらいと著者は語っていますが、判りやすく難しいことを伝えるのはその道のプロならではのことかと思います。かなり若くして
その道の達人となったように感じます。私がお世話になることはないと思いますが、いろいろと会社人をしていく上で有用な知識を習得できまし
た。l
2008/04/01
20080330 無思想の発見 養老孟司
この本も面白かった。会社に入ったその日から覚えた違和感、その他もろもろの事象の根元が、海が2つに割れるようにして、見えた。
難しい部分もある。それは未だ自分に必要ないのだ、と勝手に解釈してずんずん読んだ。
このくらい判りやすく日本人の現代意識を浮かび上がらせた人も居ないのではないか。丸山真男の本は難しくて読む気すら起きないが、養老孟司の本は読める。判る。自分の思考回路に取り込むことができる。取り込んで自分のものとして生育できる。面白い本だ。
20080329 死の壁 養老孟司
悩む必要なんて無いと自分で考えることができるようになれた。この本は、言っている事が判った、ではなく、自分もそう考えることができる、と
いう立場に立てるかどうか、だろう。人から与えられた物ではなく、自分で決められること。自由であり、同時に自由ではないのである。
20080326 高層マンション子育ての危険 織田 正昭
がまた、実に中身の薄い本であった。それどころか、本というには、お寒い内容だ。本当は2〜3ページで済みそうなものを無理矢理一冊の本に仕
立て上げているような感じがする。
高層階で生活することで、どういう実態的な害があるのか、この本で得られるかも、と思うのは見込み違いである。とんがったタイトルをつけてい
るが、これはやり過ぎだろう。いち研究者が自分の為に書いた活動経歴、のような類だ。
20080329 都市主義の限界 養老孟司
単な物言いのようで実は簡単ではない。そう言われてみればハタと気づくことである。言われないと判らない。
アメリカ合衆国は国を道路で平面展開したが、日本は床を積層させて展開を図った。こうして東洋の島国に世界で一番大きく、同時に整然としない
都市「東京」が出来上がったわけである。
都市は高層化する、というのが当方の仕事の世界では命題のひとつなので、こういうものの見方はまことにありがたい。
20080321 塀の中の懲りない面々 阿部譲二
日本は刑務所の中もやっぱり日本だなあと思いました。一番面白かったのが1000円の腹巻の話し。よくこういう筋書きを描くことができるものだと
感心しました。なにより作者の阿部譲二氏の経歴にびっくり。40代で作家デビューとは知りませんでした。
20080324 毒にも薬にもなる話 養老孟司
中央公論に掲載したものはその時点でニュースとなっている事に触れており、そのネタの背景を知らないと余り面白くない。
ということで私にはそれ以外のものが面白かった。後半の部分である。かなり辛口で刺激を受けた。文庫になったら欲しい一冊である。
2008/03/19
20080313 超バカの壁 養老孟司
バカの壁、死の壁の続編とされる。
死の壁は読んでいないが、内容は理解できた。
改めて、いろいろとものの見方、考え方を教わる。
身体と精神の乖離と一元化の問題は、この本のように言われないと、判らない。
ある意味で著者はあちら側の人で、自分はこちら側の人だと思った。
こちら側とは自分で原則を定められない人である。
2008/03/17
20080316 不都合な真実 アル・ゴア
2008/03/16
20080309 人生における成功者の定義と条件-村上龍
20080309 人生における成功者の定義と条件-村上龍
・「生活費と自己実現を充足する仕事をし、信頼できる小さなコミュニティを持つこと。」
この本は人生の成功者たちの話、として読み出すと、たちまち裏切られる。
この本は、人生で成功するためのビジネス本の類、ではない。
作家の周到な意図で、世間一般の認識ではその道の成功者とされているが、成功者と自分自身を認めているわけではない人たちの話なのである。
ここに出てくる5人の著名人の誰もが、私は成功した、などと一言も言ってない。
ひたむきに自分の仕事に打ち込んで、振り返ったらこの位置にいた。
そういう人の背景を対談で探ってみよう、ということなのである。
利根川博士や猪口直子氏の話で、異なる世界で働く人々が困難をいかに打ち砕いてきたか、生の声が読めたのが良かった。
2008/03/10
20080309 アーティスト症候群—大野佐紀子
作者の言葉ではなく、美術界で一般的とされる説明で、幾つか、そうだったのか、と目から鱗が落ちる文があった。
・デュシャンの作品「便器」は、こんなものでも美術館に置かれると、芸術作品になるでしょ、ということ。
・小林秀雄「美しい物が存在するのであって、物の美しさが存在するのではない。」
・職人のことを英語ではartisanと呼ぶ。artistと語源は一緒。
・織部焼きに見られる、ひょうげもの。端正に隙無く創るのではなく、歪みやひずみがあるほうが風情があるとみなすこと。
マルセル・デュシャンのレディメードシリーズは美術館で一度見たことがある。 便器、も見た。
当時はなんでこんなもんが美術になるんだろう、という素朴な疑問しか思い浮かばなかった。
芸術と言われる物は、芸術の権威がそう言うからである、というところまで考察が行かなかった。
自分にはちょっとショックな文章だった。
俺が20年くらい気づかなかったけど、美術界一般では当たり前のことだったんだ。
アートについて少しくらいは語れる自信があると思っていた鼻先を拳骨で殴られたような感じだ。
芸術とはなにか、ということを深く考察してみようとは思わないが、こういうことを知らないと 自分のやっていることが何だったのか全く判らなくなる事態にもなりえる、と衝撃を受けた。
そういうことをとやかく言う前に、作品を創る方に時間とエネルギーを割きたいと考えていたが、 すこしじっくり時間をかけて、美や美意識の本体と背景を探ってみたいという欲求がでてきた。
改めて思ったが、自分のやっていることは職人芸だ。
建物の設計やらパースやら模型なんかつくっているけど、技術と計算の世界に留まっている。
科学でもない。
芸術でもない。
作品を創っているわけでもない。
極めて資本主義的な経済行為そのものである。
この本は、いろいろなことで自分を気づかせてくれた。
ミュージシャンや芸能人がやたらアーティストと呼ばれることに対するアイロニーを示した本であるが、 私は芸術の世界に住んでいた人の世界観を目の当たりにして、自分の知識の少なさに愕然とした。
その次に、ちょっとおかしいな、と思った。
作者が個人的に感じていることと、美術界一般の風潮として捉えられていることとが、同じ視線で同列に語られているところだ。
たぶん、この人は、なにか昏々と湧いてくる創作欲に支配された人ではなくて、職業として芸術を選択し、モノつくりをしたかった人なんだと思う。
芸術家を辞めてしまった人だが、モノつくりをすることに自分が飽和してしまったんだと思う。
芸能がアーティスト化している現象には私も辟易している。
なんで藤井文也が、石井竜也がアーティストなんだ?
歌手ってアーティストなのか?
それに対する作者の姿勢は、本物のアーティストだった人からの強烈な反論である。
この部分の文章はまだ世間一般の考えかたとは言えないものだと思うが、私個人的には賛成できるものだった。
2008/03/04
マザーボード
ASRockという中国製のものです。
チップセットが865系だったので、少しでも安定すればなあという訳です。
このマザー、ネジ穴の位置がおかしくて、
まともにナットスペーサーに取り付けたのは1つだけ。
IOパネルとこの1本のネジでケースにマザーを固定してます。
IDEケーブルなんかを引っ張ると、マザーが宙に浮きます。
なんか、ちょっと、大丈夫かなあ。
数ヶ月ほど調子よく動きましたが、年明けしてからエラーが出始めました。
最初はHDD見失い病。
BIOSレベルでマスターもスレーブもHDDを認識しない。
ケースを開けて、ケーブルを挿しなおしたりして、一日くらいたつと治ります。
その後、HDDを検査してもエラーなし。
おかしなものです。
次はSTOPエラー。
青い画面に白い文字のやつで、0x000000F4と出ます。
調べるとHDD系のトラブルの場合が多いらしい。
ところがHDDは異常なし。
S.M.A.R.T.を常駐監理するソフトを入れてHDDを監視してみることにしました。
HDDの故障には自然死と突然死があって、自然死は監視ソフトで対処できますが、
突然死は対処できないそうです。
なんか動きがおかしいなぁ、と感じたらHDD昇天の前触れかもしれません。
使って一年くらい経過すれば突然死の可能性も低くなるそうです。
一年というと、24時間×365日=8760時間です。
プライマリの方は、もう一万時間くらい経っていました。
まだまだ、長いこと頑張ってもらいます。
この投稿を会社でしようとしたら、書きこみ不可、とでかい文字が出て書き込みが吹っ飛びました。
掲示板等への書きこみが禁止になったようです。
とっても不便。