2008/05/05

20080501赤と黒 スタンダール 野崎歓 訳



20080501赤と黒 スタンダール上下巻 野崎歓 訳
19世紀のフランスを舞台にした若者の情熱を描いた小説。
上巻では単なる禁じられた恋愛小説の類のものと思ったが、下巻で話がパリに飛んで一挙に流動する。
マチルダが落城するまでのやり取りは面白かった。
この時代、こうした恋愛テクニックの類が上流階級では試みられていたのだろうか。
激動の展開になる終末の発端となった、レナール婦人の手紙だがかなり作者の作為が出過ぎているように感じる。かなり強引な展開だ。この明らかな作為の介入で小説全体のまとまり自体にも悪影響を及ぼしている。この時代の若者たちの自由な精神の流動をよく表現しているが、恋愛を主とした小説展開としては上出来とは言えないものだろう。
ともあれ、有名な小説であり読んでとても面白いのは事実である。
19世紀の時代を色濃く映し出している。

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