2007/01/05

実りのない繁忙は経営者の責任だ

全くもってその通りだと思います。繁忙度だけはバブル期並みで賃金も職位も上がらないのは、経営に問題があるからです。
時代のせいにするのは、責任逃れです。

ゼネコン「利益重視」と「提案力(競争力)の強化」建設通信1-5 2007年も公共投資は減少するものの、民間設備投資は堅調に推移すると予測される。官製談合やダンピング(過度な安値受注)などから公共工事では一般競争入札や総合評価制度の導入が拡大し、受注環境は大きく変化している。「技術の時代が来た」とゼネコン各社は歓迎する。価格だけでなく技術も評価し、技術と経営に優れた企業が生き残れる環境への整備が求められる。環境が変化する中で、ゼネコン各社は、利益を上げてステークホルダー(すべての利益関係者)にこたえていかなければならない。そして、そのステークホルダーは社員や株主だけでなく、国民も含めその範囲は広がっている。変化の時代の中で、ゼネコン各社は、自らを見つめ直し、戦略を練る。07年のテーマとしてあげるのは「利益重視」と「提案力(競争力)の強化」だ。そのために効率の良い組織、土木と建築や部門間など垣根を超えた横断的な取り組みの重要性を指摘する。 民間投資は堅調なものの公共投資が減少する中で、今後の建設市場を「絶対量は減少する。縮小均衡する中で再編・淘汰もありうる。ただ、建設業は合併効果が出にくい。すべてが助かるという施策は難しい」と野村哲也清水建設社長は見る。一方、中村満義鹿島社長は「それほど縮小しない。人間の営みがある限り、普請は存在する」とし、衣・食・住の「住」を担っていることを強調する。脇村典夫大林組社長は「公共土木は減少するが民間投資は堅調で、全体として減少しないで推移する」と予測している。 企業経営ではそろって利益重視を打ち出している。葉山莞児大成建設社長は「受注が目的ではない。利益を上げてステークホルダーにこたえていかなければならない。実りのない繁忙は経営者(役員だけでなく統括部長まで)の責任だ」と指摘する。 利益重視の経営を徹底するために自社の強みを再確認し、得意分野や地域へ深耕する。「利益を確保できる工事を絞り込み、対応しなければ利益率を大きく下げる」など、赤字工事は基本的に受注しない考えでいる。量ではなく工事内容を見極め、利益を重視した「絞り込み」の経営を推し進める。山田豊彦東急建設社長は「応札時に最終的に黒字化できる確信があれば落札率を問わず応札してもいいが、根拠のない安値の応札は許さない。減収増益でいい」と言い切る。 利益や社内の体制を考慮して、「あらゆる工事に応札するのではなく、選択して応札する」とする企業も増え、そのための社内体制の構築も顕著だ。三井住友建設は、支店長の判断をベースに、本社で審査会を開いて、応札するかしないかを決めている。フジタも、何でも受注しようとするのではなく、本当に見積もりすべきか議論し、判断できるようにした。飛島建設も社内に委員会を立ち上げ、赤字工事の排除に本腰を入れ始めた。 総合評価方式の拡大に対応し、技術提案に対する社内体制の拡充も進める。本社に、提案の作成に対応する技術者を配置し、支社・支店をバックアップする部門を設けるなど、技術提案に対する社内体制の拡充を図る。技術力を生かし得意分野への集中も進む。トンネル、シールド、橋梁など、それぞれの得意分野での確実な受注をめざす。 マンション工事に特化する長谷工コーポレーションは、全国的に需要が拡大しても現在の首都圏、関西、名古屋の事業対象エリアを拡大しない方針で、あくまで生産効率を意識して、3大都市圏に集中する。 一方で、社員には意識改革を求める。中村鹿島社長は「個々人が部門の壁を越え、効率的に業務を進める」ことで、社員の自発的な活動に追随する形での組織改革を求める。熊谷組の大田弘社長は、個人の能力差を「情熱」が埋めることを強調する。大豊建設の岡村康秀社長は「自分の給料は自分で稼ぐしかない」とし、「個人がすばらしい人間になれば、会社はどんどん良くなる」と話す。