既存不適格というのは建築用語です。
建築基準法やその他の法規が改正されて、建物が新しい法律に適合しなくなってしまう状態のことを言います。
判りやすく言い直すと、既存建物のうちで、新しい法規に不適格となるもの、ということになります。
意図的に法律に反した訳ではないので、法に反するものではありませんが、増築時などに新しい法律に適合するように工事をするよう求められることがあります。
■わかりやすい例
耐震基準に関する法改正が判り易いでしょう。
宮城県沖地震の建物被害を受け、1981年6月に建築基準法が改正されました。
主に改正されたのは、耐震基準です。
新しく、保有水平耐力の保持が定められ、震度6クラスの地震が来ても容易に損壊しない構造の建築とすることが定められました。
耐震性能の向上を図るための新しく定められた建築基準法を、新耐震法と呼んでいます。
これ以前に建てられた建物が、既存不適格、となります。
阪神大震災でも倒壊した建物の多くがこの、新耐震法以前の既存不適格の建物でした。
■身近な例
最近、私の身近で既存不適格になりそうな建物があります。
新聞記事を見てびっくりしました。 (2006年7月28日 読売新聞)
あるマンションの敷地の庭の部分が売られてしまって、マンションが建設される計画が進行しているというものです。
実はこれ、私が前から知っている場所で、いつまでたっても着工しないおかしな敷地だなと思っていた場所だったのです。
この場合、なにが既存不適格なのでしょうか?
容積率オーバーです。
既存のマンションは敷地容積率の限度一杯の状態でした。
この状態で、建物が建っていない空地の部分の敷地を切り売りしたら、既存のマンションは敷地容積率の限度を超えます。
ここで、既存不適格です。
この、敷地を切り売りする行為は、もちろん法に反するものです。行政の目をすり抜けてしまったようです。
身近でこのような事態が進行しているとは、思いもよりませんでした。
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